連載感想 俺が好きなど嗤わせる7 (里つばめ)
珍しく私服オンリーな第7回
- 「役立たず」の詳細はお預け
梶が結婚生活において、どんな役立たずだったのかについて聞けるのかと思ったら、神谷の爆笑と梶の「お前にまで役立たずだと思われてたまるか」という言葉で、流れる。
むー、結婚してた時のダメダメ梶がどんなのだったか知りたかった。 - 「俺が好きなら跪け」の松田がいい感じに落ち着いた
「俺が好きなら跪け」の、松田とメンズウォッチャー女子2人組が登場。
「俺が好きなら跪け」では、松田はキラキラ女子が恋愛対象なもんで、ウォッチャーは視野に入っていません感が満載だった。
それが、この回では、松田が、ウォッチャー2人と話していて、それが仕事相手としての態度で、大変感じがいい。余裕があるというか落ち着いた。トロフィー代わりの女子を追っかける必要が無くなったからなのかしらー。 - 神谷を大事にしていることを隠さない梶
梶と神谷がごはんを食べていると、背後のテーブルにいた男子が、ホモフォビア発言をしてきた。それに対し、神谷はワインをそのテーブルにサービスし、軽くかわす。しかしその後、梶は、その男性に失礼なことを言ったことを謝罪させる。
神谷が、暴言を浴びても「俺といるってことはこういうことなんだよ」と淡々としていたのが気に入らなかった模様。梶は、神谷が白々しいことを言ったり、コンプレックスを感じたり、悟ったようなことを言うのが本当に嫌なんだなあ。 - 梶、あれだけ仕事しておいて、Work Life Balance発言
付き合っていると公言するのは、仕事に支障を来たすんだと諭す神谷に対して、梶が放った
「俺は仕事のためにいろいろ犠牲にすんのは止めた」発言。
ええええええ。めっちゃくちゃ働きまくってるじゃん。まあ休日神谷とのごはんのために外出てきたけど。これは面白いことになった。今後の梶の働き方にご注目。
神谷の最後の発言は、まあ梶の発言にびっくりしての、売り言葉に買い言葉かな。 - その他細かいところ
・2人がごはんを食べているレストラン、ホテルの1階にあるバーみたいな感じで、ローテーブルにソファで、食べにくそうなのが気になった。
・神谷さん、梶が寝ている隣で、出会い系サイトでヒットした男子の顔見て「悪くないな」って、さすがだな。
次回は梶が、神谷に根気よく付き合い続けるのかな。楽しみ。
連載感想 俺が好きなど嗤わせる6 (里つばめ)
仕事場とプライベートとのバランスがよい第6回
オフィスで付かず離れずの距離を保つ二人。神谷の家で、神谷は梶に離婚の理由を尋ねる。
- 会議中、会話している時の距離が近い
会社での会議で、梶が、隣に座っている神谷に話しかけるのだけど、そのときの物理的距離がすでに近く見える。寝たことのある者同士の近さか。神谷が梶を見ている時、ちょっと目が大きくなっているしね。
他に、神谷が口を抑えて笑いを堪えていたり、なんか今までとは違う2人で、松田など後輩も、二人の様子が違うことがわかる。
でも、同期エースで、近寄りがたい二人なので、恋愛関係とまでは気づかれていない。 - 前回に続き、梶の紳士っぷりが光る
女性社員が転びかけた時、とっさに肘を掴んで引き起こす梶。自然に体が動くのが、元々なのか、人を大事にすることに慣れているのか、かっこいい。腕を掴んだ梶の後ろで同僚が突っ立っていて、梶と他の人との違いが際立つ。
しかも、手を離し、「悪い」と謝るところが、さらに余裕を感じさせる。床に落ちた書類も一緒に拾っているし。
もちろん、この一連の流れを神谷さんは遠くから見ています。 - 神谷邸のソファに自然と収まっている二人
神谷さんのマンションで、梶は部屋着でソファに座っていて、やはり同じく部屋着の神谷さんがプレミアムモルツを2本冷蔵庫から出している。
これは一体、どういうことですか。。。
前回、神谷は「どうせ続かない」と言っていましたが、パーソナルスペースに梶さん入ってきていますぜ。 - 妹の離婚に落ち込む神谷とそれに気づく梶
神谷と軽口の応酬をしながらも、神谷が落ち込んでいることに気づく梶。相変わらず、察しがいい。
妹が離婚したこと、妹が結婚した時自分と照らし合わせて安心したことを、神谷は吐露する。梶にここまで内面を見せるのは初めてなんじゃないかしら。
それに対する梶の返しが素晴らしくて、神谷の頭に手を乗せ、「女は別れた後元気になっから心配するな」と言う。前を向かせてくれる明るい言葉だなあ。 - 離婚の理由を聞く神谷がかわいい
キスの後、顔が触れんばかりのまま目を見合わせながら、神谷が
「(女は別れた後元気になるって)お前の話?」
と聞く。梶が
「世間一般の話」
と返すと、
「お前の話は?」
と詰める神谷。
ここのやりとり、雰囲気は甘いし、神谷は梶のことをもっと知りたいと思っているしで、とても好きなシーン。
思い返せば第1話では、
「離婚の理由が知りたきゃ俺とつきあえ」
と迫る梶に、神谷は
「浮気ってことにしとく」
と、食いつかずに軽く流していたんですよ。それが、今は自分から聞いているって、心理的な距離が縮まっていることがよくわかる場面でした。 - その他細かいところ
・社内ですれ違う2人を上から捉えているコマ、二人とも足は長いわ、上半身の姿勢はいいわで、眼福。
・ソファに座っているとき、二人が足の位置をいろいろ変えていて、面白い。神谷は、ソファの上であぐらをかいているし、梶は片足ソファに乗っけていたり。確かにソファに座っている時って、あれこれ足組み換えたくなるよなあ。
・神谷がオフィスで、育休明けの同期の女性と話しているとき、
「旦那は育休は?」
と自然に聞いている。制度があるし、男性が育休取得して当たり前な風土の会社ってことで、大変よい。
・上記同僚のご主人が、若い女性部下をひっかけようとしているところを目撃した神谷。足をひっかけて転ばせて恥をかかせた挙句、同僚の名前をちらつかせ、不倫の芽を潰す。はっきり描いてはないが、同僚のためというよりは、格下男子が調子こいているのにむかついたように見えた。あるいは、二股が許せないタイプなのか。
・妹から、離婚を知らせるメールが入った後、すぐ妹に電話をかける神谷。優しいお兄ちゃんなんだなー。
・研修・社内監査ネタは次回以降に繋がるのかしら。
次回はいよいよ、梶が離婚したいきさつが判明するのかな。楽しみです!
連載感想 俺が好きなど嗤わせる5 (里つばめ)
二人のいちゃいちゃを堪能する第5回
神谷のマンションで二人は寝る。
- 遠慮のないやりとりしながらの濡場がいい
34ページ中18ページがいちゃいちゃです。善き哉。
神谷は梶を煽り、割り切った感じに持っていこうとするのですが、梶は「そんな白々しいセリフに乗ると思ったか?」と、それに乗ってこない。その場の雰囲気に引きずられず、気持ちの入ったものにしようとするところがいいなあと思います。
この二人、「だらしねえな」「うるせえよ…」と、最中に、同期ならではのざっくばらんな会話をしていて、ケンカップルみたいで楽しかった。
一番好きなのは、梶が間近にある神谷の顔をじーっと見ていて、神谷が梶の背中に手を回したまま「…何だよ」と聞くと、梶が「離したくねえな」と言うところ。甘いです。 - 先に部屋を出る神谷とフォローアップを欠かさない梶
翌日、寝ている梶を置いて会社に向かう神谷。起こすとか、一緒に朝ごはん食べる選択肢はなかったのかしら。最初ホテルにいた時も先に出るし、神谷は事後が苦手な模様。
置いていかれたものの、梶はその日のランチに神谷を誘い、結局数時間後にまた顔をつきあわせることに。梶のここらへんの畳み掛け方・詰め方、仕事できそうだなーと思わされる。
ちなみにマンションでうつぶせに寝ている梶の背中にいっぱい引っかき傷がついていて、色っぽい。 - 梶が紳士っぷりを発揮
梶と神谷はランチで、会社の近くにあるオフィスビルで待ち合わせをする。雨が降っている中ビルに入りかけた梶は、傘を持っていなくて困っていた、赤ちゃん連れの女性に傘をあげる。
これを神谷は目撃していたんだけど、見てなかった体で「梶 傘は?」と言うと、梶は「急いだから忘れてきた」と言うのよね。
前に、梶が、子供が怪我して急いで帰宅する部下に、タクシー代を渡す場面があって、そこでも、恐縮する部下には「経費に決まってんだろ」と言っていた。
さらっと他の人に譲るところがかっこいいし、いい意味で、ちょっと隙があるようにも見える。 - 食い下がる杉本と、追い払う梶
ランチの待ち合わせで神谷が梶を待っている間に、なんと杉本から電話がかかってくる。ホテルでは、シャワー浴びている間に、置いてきぼりにされ、さらに風俗の女性まで呼ばれたのに、まだあきらめないのか…。
「声が聞きたい」という杉本に、神谷が口を開きかけた瞬間、ちょうど待ち合わせ場所にやってきた梶が神谷の携帯電話を取り上げ、「二度とかけてくんな。クソ野郎」と一方的に告げ、電話を切る。
言っちゃなんだが、梶は杉本を直接には知らないわけだし、神谷の電話相手が杉本かも分からなかったはず。それでも、なんかおかしいと思ったら、すかさず割って入るあたりが、この人、仕事での交渉うまそうだなと思った。
前、ポンコツ谷口部長にもタイミングよくフォローしていたしな。 - その他細かいところ
・神谷の足、きれいで長くてうらやましい。
・ランチの待ち合わせ、11時30分なところ、そうだよねと思う。12時だと混むから、11時30分とか13時にずらすよねえ。
・会議から帰ってきた神谷に、お昼行かないか声かけている部下、顔見えないけど、髪型的に、「俺が好きなら跪け」の松田な気がする。
・一番最後のページ、梶と神谷の後ろ姿のなんだけど、スーツ着た二人の立ち姿が美しい。いいわ〜。
・赤ちゃんを見る梶の眼差しが優しくて秀逸。それを見た神谷が自分との関係は「どうせ続かない」と悲観してしまうのも、さもありなんという感じ。
連載感想 俺が好きなど嗤わせる4 (里つばめ)
2人の駆け引きが楽しい第4回
第3回からの続きです。
一旦は神谷からの誘いを断る梶だが、同期・宮川のアドバイスもあり、神谷のマンションに押しかける。
- 梶の野性味がたぎる
梶に断られた神谷が外に男の人をひっかけにいく。バーで会った人、神谷にかける誘い文句はいいし、見た目も悪くないのよね。しかし、結局その人とはなにもなく、神谷が家に帰った時、神谷のマンションの前で待っている梶が、まあかっこよい。腕を組んで足を持て余し気味に立っている姿、申し訳ないがさっきの人に勝ち目はない。
- 梶と神谷のやりとりがいい
マンションに帰ってきた神谷に梶がかける言葉が
「酔いは覚めたか」で、それに対する神谷の言葉が
「ああ。スッキリしてきた」なんだけど、ここの「スッキリ」は酔いと性的にとの両方を匂わせているのでは。一回梶に断られている神谷の意趣返しですな。
その後、神谷の部屋になだれこみ、梶が神谷の服を脱がせかかっているところの攻防戦も楽しい。「んじゃ確かめるか?」(何かはご想像にお任せします)と色っぽく誘う神谷に、梶ががっつくと、ビッチなはずの神谷が焦るところは見もの。
あと、神谷が、梶に「男の体見てやれるの?」と、一旦仕切り直して聞くところもよし。この問いかけは、煽りではなく質問で、流されずに、大事なことを言葉で確認できるところがいい。ここで今回なしとなったり、雰囲気が壊れたとしても、それで終わりにはならない、同期ならではの積み上げた関係があるんだろうな。
そして、神谷の言うことを飲み込んだ上で、しゃがみ込んでいる神谷に、手を差し出す梶が素敵。梶は見た目ワイルドなんだけど、ふとした仕草や行動がスマートなのよねえ。 - 加藤の上司・宮川次長が意外と常識人でいい人だった
「俺が好きなら跪け」では神谷のライバルとして出てきた時はアクが強いのかなと思ったんだけど、この回で見ると家庭円満で、常識人だった。急遽梶と社内で飲み始め、梶が神谷との話をぶっこんでも、それなりに対応していて、面白い。 - その他細かいところ
・宮川次長が梶からとっさに身を隠すために壁から取ったポスター、梶がひっぺがすときに破れるんだけど、その後ちゃんと壁に貼り直されていておかしかった。
・梶と宮川が飲んでいる場所、会社の共有スペースなんだけど、投資のポスターが貼ってあったりと、日系感が絶妙。
・バーで出会った人に「実演の方がわかりやすいよ?」と誘われているときのコマの神谷、色気ダダ漏れ。
・神谷の私服のときのスニーカーがズック靴って感じでかわいい。いいチョイス。
・「俺が好きなら跪け」の加藤登場。
感想 g&d Valentine's Day(里つばめ)(CRAFT vol.84)
面白くない時の誉の目線がまじで怖い
今年に雑誌に掲載されたショートストーリー。
その前のg&dはこちら。
こちらも、私はDOGSのみに注目。
片桐が、長谷川と歩いていたら、なぜか女子高生2人からチョコレートをもらう。しかし甘いものが好きでない片桐は、矢島に押し付けることにし、矢島が住むアパートのドアノブにチョコレートが入った袋をひっかける。
一悶着あって、片桐と長谷川がアパートから去ったとき、入れ違いにやってきたのが誉。
誉が、長谷川の腰に手を回して元気に去っていく片桐を見て、そのあと矢島を見るんだけど、その目つきが無表情で怖いったら。
誉が矢島からチョコレートをひったくったとき、矢島が先回りして
「歳暮の横流し的なもんなんだから誤解すんなよ!」
と言うところ、誉の嫉妬深くて粘着質な性質を飲み込んでいて面白い。
実際、誉が矢島の毛を剃ろうとしたとき、思わず矢島が
「人に見られたらどうすんだ」
と抵抗したら、かえってそれが仇となっていた。
誉も、よくもまあ、矢島の売り言葉に買い言葉にいちいち邪推できるな。
しかしこの2人いちゃいちゃしているの、この流れだと矢島のアパートよね。今まで誉が矢島のアパートの外で待っていることはあっても、アパートの中に入ったのを見たのは初めてなような。
あと、矢島も誉もチョコレートとか甘いもの食べるんだな。
感想 g&d(里つばめ)(iHertZ band.45【白】)
誉の緩急のつけかたが見どころ
2018年に雑誌に掲載されたショートストーリー。
DOGS誉と矢島、GAPS片桐と長谷川の2カップルが出てくるのだけど、私はDOGSのみに注目。
片桐と矢島が、長谷川の前でいつも通り口喧嘩しているところに、誉が来る。
多分誉は矢島と片桐が幼なじみだとは知らず、矢島の「聡てめえ猫被ってんじゃねーぞ」という発言にピクリとする。
それでも平静を装って「…知り合いか?」と言うのだけど、その質問が発端となって、また片桐と矢島が言い争い始め、それを見ている誉が無表情で怖いことよ。確かに見ようによっては、気心知れた仲でのわちゃわちゃだもんな。
誉は矢島を引き離し、ビルの合間に連れ込むが、そこでまだ「聡のバカが」と言い募る矢島に、誉のクールな化けの皮が剥がれて「昔の男か?」と、問い詰めるところが面白い。
その後は、一転して、めっちゃくちゃ甘く矢島にキスしていて、それを受ける矢島の表情もいい。「俺以外の名前は呼ぶな」と誉は言うけど、矢島が誉を下の名前で呼ぶ日は来るのかしら。今まで、「課長」とか「あんた」だもんな。
細かい萌えポイントでいうと、誉が矢島にキスしているとき、誉のコートの襟が柔らかく折れているところが素敵。ああいう折れ方するってことは、カシミヤのコートなのかしらー。
連載感想 俺が好きなど嗤わせる3 (里つばめ)
神谷の恋愛観が気になる第3回
第1回・第2回からの続きです。
神谷の好きなポイントは「顔と体」だと言う梶に、神谷は鼻白む。一方、元セフレの杉本が、神谷に復縁を迫ってきた。体よくあしらった神谷は、梶に電話をかけ、「梶の声を聞いていると変な気分になる」と言う。
- 神谷、実は杉本は本気で好きだったのか
第1話で、「そろそろハメて欲しいんじゃないの?」と失礼な発言をしたがために神谷に殴られた杉本が、神谷が会社から出てくるのをまた待っている。
杉本のこと、ついついセフレだセフレだと思っていたが、どうやら様子が違うのよね。
酔っ払いに絡まれた神谷を、杉本は助けに入っているし、それに、杉本に神谷が「ちゃんと話したくて」「俺なんかした?」と話し合おうとしていて、どうやら神谷が一方的に三下り半を突きつけ、杉本はそれに納得できていないよう。
思うに、神谷は杉本とそれなりに本気で付き合っていたのに、杉本の貞操観念が自分と違っていて、幻滅したんじゃないかなあ。
梶に言っていた「セフレ」は、後からそう納得したんじゃなかろうか。
- 梶は、同期な分、下衆なこと言っても利がある。
杉本は「そろそろハメて欲しいんじゃないの?」と神谷に言って鉄拳をくらっていたが、梶は(神谷に惚れたポイントは)「顔と体」と言っても、許されている。ここらへんは、同期で付き合いが長いからゆえか。
相変わらず梶が押したり引いたりがうまいのもあるな。下衆なこといっても、その後、しゃがみこんで「この年で好きとか言うことになるとは思わなかった」と弱みを見せたりね。 - 女性がきちんと働いている職場に好感
神谷のチームも梶のチームも(さらに言うならGAPSの長谷川のチームも)、女性がいるのが好感が持てる。秘書的な役割の人ではなく、神谷たちと同じ仕事をしている人たち。しかも、若い人だけでなく、多分40〜50代の女性がいて、なんだかほっとするのは私だけかしら。
あと、梶の職場忙しいけど、部下の子供が怪我したら、その男性の部下をすぐ帰らせるところもよい。
「めちゃめちゃ働くけど、それも家族あっての話。当たり前だけど、父親だって家族第一」という価値観があって、よい。
偏見だが、日本のメガバンクっぽくないというか。 - その他細かいところ
・杉本が左手首に時計をはめているんだけど、「なんだそれなら大丈夫」のコマだけ右手首になっている気がする。
2人がだらだらと同期っぽさを出しているのもいいけど、恋愛もみたい。